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vol.4 喀什 カシュガル

新彊ウイグル自治区の西の外れにあるカシュガル、漢字では「喀什」カシーと発音をする。
ここは昔からシルクロードの要所で、マルコポーロや玄奘も訪れた。今までの旅の疲れを癒し、これからの厳しい旅に備えての休息をした町だ。カシュガルに行くには通常北京や上海から飛行機で新彊ウイグル自治区の区都ウルムチへ行き、そこから飛行機やバス、列車で向かう。
中国は日本とは比べようが無いほど広い国で、ウルムチのようなシルクロードの入口の町までも北京から飛行機で4時間、列車では4日もかかる。 以前この旅とは別の機会に雲南(ウンナン)省昆明(クンミン)行った時の事。 見慣れないナンバーのトラックが荷物を満載して走っているので、ガイドに何処の県?と聞いたら、北のロシアとの国境の黒龍江省から来たトラックで、出発してから9日かかるそうだ!!! そんなに中国は広いのだ。


カシュガルの話の前にウルムチのことを少し。
車で3時間の郊外に天池(テンチ)というところがある。海抜5500mのボゴダ山の中腹(海抜2000m)にある湖だ。息を飲む美しさ、とはこのことだ。空気は胸に痛いほど清清しく、水は青々と澄みわたり、遠くボゴダ山には真っ白な万年雪。 こんな風景はあまり見られない。
ウルムチ市内のレストランで注文をした地元のお酒「イリ酒」。 中国政治家の乾杯の場面に登場する透明な高級酒「茅台酒」と 同じもので、度数が60度以上あり、匂いも強烈だ。 ボトルで注文をしたがさすがに飲み切れないのでホテルに もって帰り、バスルームに一晩置いていたら、次の朝あまりの 臭さにトイレに入れなかった。
[写真上] 彼は今、手打ちのラーメンを作っています。
[写真下] この料理2人前だよ。このボトルがイリ酒だ。チアガールみたいな鶏が出てきた。


そしていよいよカシュガルに到着です。
ホテルはパキスタンに向かうバスの出発駅になっていて異国情緒豊かな顔の人達が大勢集まっている。写真を撮ると声をかけたらこんなに勢ぞろい。 女性がみんな上着を着ているのがおもしろい。
この時のメンバーは僕と北京からの通訳の常さん それと自治区の文化担当の役人王さんと運転手。

新彊ウイグル自治区での会話には苦労する、 僕の話す日本語を常さんが北京語(中国の標準語)に翻訳し、 それを王さんがウイグル語に直す。 そこに回族が入るともっと複雑になる。
ホテルに入り一休みしてからみんなで何処か食事に 行こうということになり近くのエイティガール広場へ向かった。 広場には屋台がたくさん立ち並び、ものすごい人の数。 それにいたるところでつけているテレビの音が凄まじい。 ボリュウムを最大にしてアクション映画を見ている。 今にも何処からか弾が飛んで来そうな雰囲気だ。

ここで始めて羊肉の串焼きに挑戦をした。 日本の焼き鳥の3倍はある大きさと長さで肉の塊が5個刺さっている。 5個の中間、上から3個目は白い脂の塊。 すき焼きの脂も食べられないのにこんなもの見ただけで 気持ち悪くなりそうだ。 でも肉は美味しい、お腹も空いているし、3個目を通過しなくては その下の肉にたどり着かない。周りの人もいるので脂を捨てるわけにもいかず、 思い切って口に入れた、そうしたらどうだ、まったく違和感無く 食べられるではないか、気持ちも悪くならない。 まったく不思議だ。
羊の肉がこんなに美味しいものとは知らなかった。 地元の人の説明では水がきれいだから肉も臭いが無くて 美味しいのだそうだ、ほんとかな?
カシュガルで一番有名なのがバザール。日曜日には町中が市場に変身をする。 町の一角には職人の働く場所があり、そこでは手作りの雑貨が作られている。 バザールと町の様子は写真で見せます。 ここで牛一頭分の革を買って一大苦労をして日本に持ち帰った。
[写真左] 銅で作る薬缶を一つ注文して、明日取りに行くことにする。凄い、オーダーメイドだ。
[写真右] このぼうや可愛いよね。

[写真左] ロバは自分で餌を携帯している。
[写真右] 露天のお茶のお碗は共有、そんなことを知らないで 平気でお茶を飲んでいて、あとで隣のウイグルのおじさんの 飲み残しと気が付いて、思わず吐き出す。

ある夜、農民画を書いている先生の家に招待された。 旅の疲れで具合が悪いが無理をして行く。
公団アパートのようなところで奥さんとお嬢さんの3人暮らし。 出てきた料理にびっくり、羊の脂で炒めたバター炒飯のようなものが 高さ30cmの山になっている。 裾野は直径25cm。 山腹には骨付き羊肉が刺さる。 それでなくてもムカムカしているのに、これだ。 中国の習慣ではお客さんが食べないと家の人は手を付けない。 無理をして笑顔で口に入れる。 気持ちが悪くなってトイレを借りてしゃがんでいると、奥さんが バスルームの中の洗濯機を動かしに来る。 便器と洗濯機が同じ場所にあるのだ。 しゃがんでいる僕に向かって、ニコッ。 こっちはそれどころではないよな。 思わず顔が引きつる。 中国では料理を残すのがマナー、助かった!! ホテルに帰るなりトイレでゲボゲボ状態。 文化交流も辛いな。

次の日、画家先生の友達にバレエ見物に誘われた。 本場?のカザフスタンから有名なバレエ団がカシュガルに 来ていて、その公演がある。 カザフスタンは元ソビエトの中の国だったので バレエは相当なものだそうだ。 夕方大きな劇場の前で待ち合わせをして、現地の人達は 何やら難しい顔をして話をしている。 問題がありそうだ。 近づくと、大丈夫大丈夫と言って、入口に向かう。 チケットは持っていない、入口の係員と話をして顔パスで通過。 一番前のオーケストラの直ぐ後ろの特等席に案内されて、ここに座れ。 チケットも無いのにいいのかな?と不安になっていると、的中!! 知らない人が来て文句を言い出す、彼らの席だったのだ。 それでも画家の友達はめげずに今度は直ぐ近くの空いている席に 連れて行かれる、そうしたらまた本当の席の持ち主が来た。 こんなことを4回も繰り返して、最後にはすっごく後ろの席に 着席。ゆっくりと白鳥の湖を見る暇も無かった。 まあ、お金を払っていないから仕方ないか。
カシュガルは東と西の文化がぶつかり合ったところ。 すべてのものの交差点だ。

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