fu do ki
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南米はボリビアの首都ラ・パスから飛行機とバスを乗り継いでまずは世界最高地にあるポトシという町を目指す。この町はまあ想像通り空気が薄い。
富士山の頂上よりもさらに上に町があるんだから仕方が無いけど生活は非常にきつい。乾燥しているし、寒いし、町の人達、特に子供達の肌はカッピカピです。
そこからさらにバスに揺さぶられて数時間。
バスの車内が砂埃で息苦しくなる頃にウユニの町に到着する。
この町の唯一のイベントはウユニ塩湖観光。湖の大きさは日本の四国がすっぽり入るぐらい。でかいです。
でもこの湖の特徴は大きさではなくその見た目。なんと水が無い。でも代わりに塩がある。
まあ聞いても想像できるものではないけれど20億トンの塩がその塩湖にあるらしい。ちょっと塩辛いな、というレベルではありません。大きさが大きさだけに塩湖の真ん中に立つと一面の塩世界に囲まれ湖という感覚はありません。四国に例えるならば高知市に立って香川の方を見たって、愛媛の方を眺めたって、全部塩。
湖というよりは砂漠という感覚のほうが適切な気がする。(あれっ?四国のもう一つの県なんだっけ・・・)

では何故標高4000メートルの場所に塩湖が存在するのか? 答えは単純で、昔は海だったからです。
では何故標高4000メートルの場所に昔海が存在したのか?答えは単純で、、、はありません。
がんばって分かりやすく説明すると、南米大陸というのは大陸同士がぶつかり合ってできたそうです。
そしてそのぶつかった時に真ん中にあった海は押し上げられてポカンと孤立してしまったそうです。
そしてだんだん水分を失い最後には現在のように塩だけが残ったそうです。この間わずか数億年。
時間の単位が長すぎてまったくピンっとこない。ポンっぐらい。しかもこの説明をスペイン語で聞いたわけだからポンっともこない。プンっぐらいでまあいいやと僕は納得しました。

そんな一面真っ白な塩の世界の真ん中に僕は一泊した。
ウユニの町からツアーに参加しランドクルーザーで出発。もちろん現地のガイドが運転するわけだけど、いったん塩湖に入ると全くと言っていいほど目標物が無い。もちろん道なんてない。僕に分かるヒントといえば太陽が昇り始めた東の方向のみ。それだって時間がたつにつれ真上に太陽が来れば東すら分からなくなる。数時間後、湖に浮かぶ・・・ いやっ塩の上にある島を遠くに見つけた時はホッと一安心。
ボロボロの車が壊れなかったことに、そして地球が本当に丸かったことに。
運転手兼ガイドさんはその島にある唯一の宿のおばちゃんに僕を紹介して町へ帰って行く。ちょっと不安になったが「大丈夫。明日の午後1時に迎えに来るから。」と言い残して車に乗り込む。 おばちゃんと世間話を少ししてから部屋へ。まぁ予想通りボロボロ。
宿というより避難所。電気は駅前のたこ焼き屋さんのブーーって音がするやつで、水道は無し。
シャワーなんてもちろん無い。まぁあったところで寒すぎて浴びれないけど。荷物を置いて、手袋、ニット帽、ジーパンの下にはモモヒキの完全武装で外をブラブラ。 目の前の塩湖にはフラミンゴの集団が雨水のたまった水たまりで塩っ辛い水をガブガブ。そして僕のすぐ近くでは家畜用のリャマ達が草をムシャムシャ。周りの芝生はもともとそれ以上成長しないのか、リャマ達が気を利かして食べているのか分からないけど意外ときれいに生え揃っている。でこぼこや水溜りがたくさんあって河川敷のゴルフ場みたいな景色がずっとつづく。
岩場に座ってフラミンゴを眺める。お尻が痛くなってきたら今度は塩湖に歩いていってリャマ達を眺める。
これしかやることがない。何回かこれを繰り返していると日も沈んでご飯の時間。幸せな時間の流れ方です。
予想通り避難所でだされる様な食事をしてからまた外へ。すでに辺りは真っ暗でフラミンゴもリャマもどっかに行ってしまっている。でもその代わりに今度は夜空に星達がゴロゴロ。都会育ちの僕は正直、「うわぁっ、プラネタリュームみたい!」と思ってしまった。当たり前です。自分の表現力の無さに呆れながらもじっくりと星を観察。北極星もオリオン座も何一つ星座のことなんて知らないけどとりあえず観察。
あまりの美しさに寒さも忘れる!なんて書きたいけどウユニの気候はそれほど甘くはなく、鼻水を凍りつかせながら手足の感覚を失いながらの感動でした。

翌日もやっぱりやることが無いから昨日と同じ事を繰り返す。どこからともなく集まった塩分取りすぎのフラミンゴ達とゴルフ場の整備をしているリャマ達を交互に眺める。そして約束の午後1時をぼけーっと待つ。
本当に本当にぼけーっと待つ。しかし来ない。
ここは南米時間の流れるボリビアだし、特に今は巨大な塩湖の真ん中にいるわけだし1時ちょうどに迎えが来るとは思っていなかったけど2時になっても3時になっても来ない。
不安になって何度も宿のおばちゃんに聞いてみるが「大丈夫。そのうち来る。」の一点張り。電話も無線も無いこの島でどこからその確信を得ているのか分からないが、とりあえず知らんぷり。
そして日も沈みかけてもう一泊しようと覚悟を決めかけた時に地平線のかなたに一台の車が。んっ?
でも昨日と車の色が違うぞ。僕の迎えじゃないのか?とやっぱり不安になるが降りてきたのは昨日のガイドさん。そして運転席には別のおじさん。
理由を聞いてみると僕を迎えに来る途中、塩湖の真ん中で車が故障したらしい。そして困っていたら偶然別のガイドさんが通りかかって彼の車でここまで来たらしい。おいおいどんな偶然だよ。どうやったら道も無い塩砂漠のど真ん中で他の車とすれ違うんだよ。渋谷の道玄坂じゃないんだからそんな簡単に人と会えるものか?と信じられなかったけどとりあえずは町に帰れそうなのでおばちゃんにお礼をして車に乗り込む。
帰りの車中でガイドさんにその壊れた車のことを聞いたら、「乗り捨ててきたよ。明日にでも取りに行くよ。大丈夫。」もちろんGPSなんて付いていない廃車寸前のランドクルーザーを砂漠の真ん中から見つけ出す方法があるのか僕には想像も出来ないがとりあえず黙っていた。彼らのことだから翌日「えーっとそこの塩を右、で次はあのちょっと黒くなってる塩を左折。あーそこの塩は一旦停止だから気をつけて・・・・」なんて具合にすぐ見つけちゃうんだろうな。 僕は後部座席から夕焼けでピンク色に染まった塩湖を眺めながら、ポカンとたたずむ壊れたランドクルーザーを想像しながらウユニの町へ帰りました。ボリビアで唯一感動した場所ウユニ塩湖。過酷だけどオススメです。思い出は塩湖だけにちょっと塩っ辛いけど・・・

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