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vol.5 ラクシャディープ諸島

アラビア海に浮かぶ島々、インドの南のケーララ州の西にある。 有名なモルディブの北、と言うとわかりやすいかも知れない。 北緯10度56分、東経72度17分、地球上で一番変化しないで 穏やかな北東貿易風が一年中心地よく、そよそよと吹いているところだ。
世界の有名なリゾートがほぼこの北緯10度から上にあるのは そんな理由からか。 15世紀にコロンブスやマゼランが冒険できたのもこの北東貿易風の 発見のおかげだ。

まずはラクシャディープへの道のり。 日本から行くのは2日がかりだ。 デリーかムンバイ(昔はボンベイと言った)に行き、国内線に乗り換えてコーチンへ。 そこからまた小さい飛行機に乗り換えてラクシャディープで唯一飛行場のある島、 アガッティ島(AGATTI)へ。
ラクシャディープはインド中央政府直轄地のため、来るにはインドのビザとは別に入域許可証が必要だ。リゾートを管理するコーチンのカジノホテルで申請の代理をしてくれる。
アガッティの浜辺で待っていると小さなボートが来た。 バスの大きさくらい、船べりから手を出すと海に届く。 そんな小さなボートに50人が乗り、おまけに大きな荷物を たくさんたくさん積み込む。ちょっと心配だ。 こんな小さなボートだからきっと目的の島は近くだ、 と思い込んでいたら、大間違いだった。 止まる様子がないし、ついにリーフの外に出てしまった。 ボートは大きく揺れ始めるし、進む前方に島影は無い。


map was issued from http://lakshadweep.nic.in/welcome.htm Lakshadweep official site
波のしぶきは容赦なく体にかかり、新しく買った麻のスーツはずぶ濡れだ。 ここで船が転覆して海に落ちたら、きっと鮫に食べられるのかな、 と嫌な事が頭に浮かぶ。
初めのうちは陽気に騒いでいたイタリアチームもだんだんと 口数が減り、みんな神妙な顔つきだ。 そんな航海を2時間、やっと目的の島バンガラムBANGARAM に到着。 鮫のご馳走にならなかったことをヒンズーの神様に感謝だ。 あっ、違う、ここはイスラムの世界だ。
島の大きさは2.3平方キロ、島をぐるっと歩いて廻っても1時間ほど。 リゾートホテルで働いている人だけがいるだけで、住人はいない。 島には60人分のベットを持つリゾートホテルがある、全部椰子の葉で作った コテージタイプ。アマンとは比べ物にならないシンプルさだ。 部屋の中には大きなベットとシャワールーム、シャワーからは生ぬるい お湯が少し出るだけ。
島の中心部にはホテルのレセプションがあり脇にはレストラン。 ここで朝昼晩3回食事をする。 3食ともバイキング形式、味はすべてカレー味。 カレーの好きな人はいいが嫌いな人には辛い。 ある晩レストランのインド人コックが取れたての魚を焼いてくれた。 日本から持ってきた醤油とワサビで食べた時には 美味しくて感激をした。 ビールやウィスキーは貴重品で船が来ないと飲めない。


島の楽しみはやはり海、水の色は信じられないほど青い。 島でやることはスキューバダイビング、スイミング、 シュノーケリング、ビーチゲーム、釣り。 それに椰子の木に吊られたハンモックに寝そべって本を読むこと。 海の中にはたくさんの魚がいて、少し深いところには沈没船もあり 毎日入っても楽しめる。 ボンベを背負ってのダイビングが出来ない人でもシュノーケリングで充分、 潜っている人を上からゆらゆらと見ながらきれいな魚を見ることが出来る。
島にはドイツ人がインストラクターをしているダイビングショップがあり、 機材を貸してくれ、ボートを出してくれる。 だけど日本のショップとは違って新しい機材はほとんど無く、みんな古い。 一度ボートで一緒になったイタリア人のふとっちょがウェイトが足りなくて 潜れない時には、何と船の床に転がっていたスパナを代わりに使った。
ダイビングでビックリした事がある。 盲目の人がボンベを背負って潜る、そばにはピッタリと奥さんが付き添い トランシーバーを使ってどんな魚がいるとか、海の様子とか、 周りの光景をすべて説明している。 目が見えないのに潜ろうとする本人の意思も凄いが それに付き合う人も凄い。

島には電話、テレビ、一切無く、電気が自家発電であるだけ。それも時々止まる。 暗くなったら寝ろ、と言うことか。 自然の生活だ。 すべてがゆったりと流れる。 毎日が同じパターン。 起床、朝食、散歩、読書、昼食、ダイビング、昼寝、夕食、 それにお休み前のお楽しみ。 みんなで真っ白な砂の海岸に座り焚き火を囲んで話をする。 旅行中にCさんのお誕生日が来た、砂に描いたバースデーケーキで お祝いだ。
そして就寝。これがすべて。

島の夕焼けは感動的にきれいだ。 こんな何も無いところでさぞや退屈だろうと思うかも知れないが、 そんなことは心配無用、あっという間に1週間が過ぎた。 そして島を離れる日、生憎の天気で雨と風。 来た時のボートを考えると恐ろしくなる。 ホテルのスタッフも無線に掛かりきりで忙しそうに している。結局船は波が高いので無理と言うことになり、 1人50ドル?の追加料金でヘリを呼び、アガッティまで飛ぶことになる。 船は2時間もかかったのに、ヘリコプターはなんと10分。 飛び上がったと思ったらもう着陸だ。

俗世界から隔離されていた1週間、おかげで飛行機の予約のリコンファームが 出来なくて、4人の予約すべてが落とされていた。 すったもんだの末、コーチンでは何とか乗れたが、次のムンバイでまた一騒動。 この話は長くなるので次の機会に。 ラクシャディープの素敵ことが伝わったかな? ゆっくりとするには最高なところだ。 シュノーケリングが出来ると、言う事無し。 でもあの船にはもう乗りたくないな。

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